四ッ谷アウトブレイクにて、ダンス+ドラム+ピアノのバンド、「芭朽」(ばく)を観た。
マイクスタンド最上部に配置された二つの仮面が頽廃的な印象をステージに添える。
音楽にシンクロする照明の具合もたいへんに良い。
ピアノは低音一音で古城の地下牢を出現させる。
ライブハウスのピアノ音源は決して良い音ではなかったけれど、
わびしさを感じさせる通奏低音に乗せて、
3拍子のリズミカルなワルツ風からヘヴィなリフ、
叙情的な雰囲気と、目くるめく展開していく演奏は緊張感にあふれつつ心地よい。
ピアニストの仮面の下からうめき声のように発せられるハイトーンボイスは、
すばらしく美しくて驚いた。
仮面をはずして歌う段において、ボーカルがすばらしい。
一呼吸で精霊を口寄せする。
ピアニストの衣装も良かった。
薄い繭のような布を纏い、はだしでダンパーペダルを踏む。
なんなんだこの人たちは。
全体は組曲構成になっていて、
重々しいイントロからさびしくも楽しいダンス、
悲しい歌、やるせないアウトロ。
なんだこのバンドは。
かっこいいじゃあないか。
いいもの見た。
次回は1/29(木)渋谷「青い部屋」で演るそうだ。
あのハコならとても似合うのだろう。
それにしても四ツ谷アウトブレイクは、なかなかいいハコだった。
芭朽のライブは撮影や映像収録をしている様子だった。
協力者がいるというのはたいへんによいことだと思う。
※写真は、芭朽のピアニストに似た雰囲気の木。四ツ谷にて。